子供の運動会でトイレに行けなかった|IBSの父親が「そこにいる」ために|Sereni
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子供の運動会でトイレに行けなかった
「パパ見てて」に応えられなかった日の話
校庭のトイレは2つだけ。子供の出番は「次の次」。お腹の波は「今」
秋晴れの校庭。ビデオカメラを構えた保護者がぎっしり並ぶ中、Rさん(38歳・食品メーカー勤務)はレジャーシートに座っていました。7歳の息子が出る80m走はプログラムの6番目。今は4番目の玉入れが行われています。あと2競技。その時、お腹の奥から嫌な圧迫感がやってきました。「今じゃない……」。校庭の隅にある仮設トイレは2基しかなく、行列が見えます。トイレに並べば片道10分。往復で20分。その間に息子の出番が来たら──「パパ見てて」と朝から何度も言っていた息子の顔が浮かびます。Rさんはレジャーシートの上で動けなくなりました。
子供の学校行事は、IBSの親にとって「楽しみ」と「恐怖」が同居する一日です。運動会は校庭のトイレが少なく行列ができる。授業参観は教室の最後尾に立ち、途中で廊下に出ると目立つ。PTAの役員会は30分で終わるはずが延び、席を立つタイミングがない。「行かない」という選択肢は親にはありません。この記事では、Rさんが息子の行事から逃げずに参加し続けるために見つけた方法をお伝えします。
🏃 運動会の校庭にトイレは2つだけ
小学校の運動会は、IBSの親にとって最も過酷な行事です。まずトイレの数。校舎内のトイレは「児童用のため保護者は使用不可」とされていることが多く、保護者用は校庭の隅に設置された仮設トイレ2〜3基のみ。数百人の保護者と祖父母が共有するため、常に行列ができています。しかもRさんのようなIBS当事者にとって仮設トイレは「音が筒抜け」「隣の人と近い」という心理的なハードルもあります。
次に「時間の読めなさ」。プログラムには競技の順番は書かれていますが、正確な時間は分かりません。「子供の出番の前にトイレに行こう」と計画しても、前の競技が早く終われば間に合わない。Rさんが最も恐れたのはこの「予測不能なタイミング」でした。ストレスと腸の悪循環で解説されているように、「いつ波が来るか分からない」×「いつ子供の出番が来るか分からない」のダブルの不確実性が、IBSの予期不安を最大化させるのです。
🏫 授業参観・PTA──「席を外せない」行事たち
運動会は年1〜2回ですが、授業参観やPTAの集まりは年に何度もあります。授業参観は教室の後ろに保護者が立ち並ぶスタイルが一般的で、途中で廊下に出ると「あのお父さん、途中で出て行った」と目立ちます。子供も「パパがいなくなった」と気づく。45分間の授業参観を「トイレに行きたい」と思いながら立ち続ける緊張は、会議や面接でのIBSと同じメカニズムですが、子供の目があるぶん精神的な負荷はさらに大きいとRさんは言います。
PTAの役員会はまた違った苦しさがあります。教室や会議室で10〜15人が円座になり、議題を順番に議論する。30分で終わるはずの会議が1時間を超えることも珍しくありません。席を立てば議論が中断し、理由を聞かれる。「お手洗いに」と言えば戻ってくるまで全員が待つ。この「自分のせいで会議が止まる」というプレッシャーが、IBSの腸をさらに刺激します。Rさんは一時期、妻に「PTAは全部任せていいかな」と頼んでいましたが、共働きの妻に負担が集中する罪悪感は別の形でストレスになっていました。
😔 「パパ来なくていいよ」と言わせた罪悪感
Rさんが最もつらかったのは、息子が小学2年生の運動会のことです。80m走の直前にお腹の波が来て、トイレに駆け込んでいる間に息子は走り終えていました。2位だったと妻から聞きました。帰りの車で息子が言ったのは「パパ、見てくれてた?」。その夜、Rさんは寝室で妻に「来年は行けないかもしれない」と初めて弱音を吐きました。
翌年、息子に「運動会、パパも来る?」と聞かれた時、一瞬だけ「来なくていいよ」と言ってほしいと思ってしまった自分にRさんは気づきました。子供の行事に参加しない父親──そのレッテルを貼られるのは嫌だけど、行けば息子の出番を見逃すかもしれない。外出前の不安との付き合い方で説明されている「回避行動」は、仕事やプライベートだけでなく、親としての役割にまで広がっていました。IBSが奪おうとしているのは、Rさんのお腹の快適さではなく、「父親としての場所」でした。
🔑 Rさんが「行事の日」を乗り切った方法
「トイレ偵察」を行事の一部にする
3年目の運動会の前日、Rさんは学校に息子を迎えに行くついでに校庭のトイレの位置と数を確認しました。仮設トイレは正門側に2基、体育倉庫の裏に1基。そして校舎1階の来賓用トイレが保護者にも開放されていることを確認。当日はレジャーシートを校舎側の端──来賓用トイレに最も近い場所に敷きました。「校庭の真ん中じゃなくて端でいいの?」と妻に聞かれましたが、「こっちのほうが日陰になるから」と答えました。トイレまで歩いて30秒。この30秒の安心が、Rさんの腸を落ち着かせました。
「出番の2つ前」にトイレに行くルール
Rさんが決めたのは「息子の出番の2競技前にトイレに行く」という明確なルールです。プログラムの進行は多少前後しますが、2競技分の余裕があれば行列に並んでも間に合います。IBSモーニングルーティンで推奨されている「出発前に排便を済ませる」習慣と合わせ、当日は朝食を早めに取り、出発30分前にトイレを済ませてから学校に向かいます。「出番の直前」ではなく「2つ前」にトイレに行くことで、万が一2回目の波が来ても息子の出番までに戻れる計算です。
吸水パンツで「最悪でも、ここにいられる」
Rさんが運動会に「戻れた」最大の理由は吸水パンツでした。万が一トイレに間に合わなくても、チノパンにまで染みることはない。レジャーシートの上で座り続けていられる。ビデオカメラを構えていられる。「最悪でも息子の前に居続けられる」という安全網がRさんの予期不安を下げ、腸の反応自体も穏やかになりました。3年目の運動会、Rさんは息子の80m走を最初から最後まで見届けました。息子が3位でゴールした後、振り返って手を振ったとき、Rさんは「ここにいる」と声には出さず、手を振り返しました。授業参観やPTAの日にも同じように吸水パンツを履いて参加するようになり、「行事の日はお守りの日」というルーティンが定着しました。
👔 Sereniの吸水パンツについて
100ml前開きコットンタイプ
運動会や授業参観など「トイレに自由に行けない行事」には、Sereniでは100mlタイプが適しています。お尻まで広範囲に吸水パッドがカバーしているため、レジャーシートに座っている最中やビデオ撮影中にトイレに間に合わなくても、チノパンへの染みを防ぎます。前開き仕様で校舎のトイレもスムーズ。見た目は通常のボクサーパンツと同じで、運動会で他のお父さんたちと一緒にいても気づかれることはありません。亜鉛銅イオンの抗菌防臭加工で、半日の屋外行事でもニオイの心配が軽減されます。
⚠️ 100mlタイプは大量の下痢をすべて吸収することはできません。トイレに間に合わなかった際に、液状便の水分を吸収しズボンへの染み出しを軽減する「お守り」としてご活用ください。より安心したい方は、市販の吸水パッドとの併用をSereniはおすすめしています。
❓ よくあるご質問
Q. 授業参観の途中でトイレに行っても大丈夫ですか?
大丈夫です。教室の後ろから静かに出て、廊下のトイレを使い、静かに戻れば特に問題はありません。気になる場合は参観開始前に担任の先生に「体調の関係で途中退室するかもしれません」と一言伝えておくと安心です。実際、授業参観中にトイレに行く保護者は意外と多く、あなたが思うほど目立ちません。ドア側に立つポジションを取っておくと、出入りが自然にできます。
Q. 運動会の朝、何を食べればいいですか?
白米、味噌汁、焼き魚など低脂質・低FODMAPの和食が安全です。コーヒーは利尿作用と腸の刺激があるため避け、温かい麦茶か白湯に。朝食は出発の90分前までに済ませ、トイレの時間を確保してください。運動会のお弁当は子供と一緒に食べる楽しみもありますが、脂っこい唐揚げや卵焼きは控えめにし、おにぎりと焼き鮭を中心にすると午後の腸が安定します。
Q. 子供にIBSのことを伝えるべきですか?
年齢に応じた伝え方が大切です。小学校低学年なら「パパはお腹が弱いから、たまにトイレに行くことがあるよ。でも必ず戻ってくるからね」で十分です。高学年以上なら「過敏性腸症候群っていう病気で」ともう少し詳しく伝えてもいいでしょう。大事なのは「パパが行事に来ないのは、あなたのことが大事じゃないからではない」と伝えること。パートナー・家族への説明ガイドも参考にしてください。
まとめ
Rさんが2年目の運動会で息子の走る姿を見逃したのは、IBSのせいです。でも3年目に最初から最後まで見届けられたのもIBSのおかげ──ではなく、「トイレ偵察」「出番の2つ前ルール」「吸水パンツのお守り」という3つの備えのおかげです。子供の行事から逃げることは、親としてのアイデンティティをIBSに明け渡すこと。完璧に体調を整えて行く必要はありません。備えを持って「そこにいる」だけでいい。手を振り返してくれる子供は、父親がトイレに行ったことなんて覚えていません。「パパが来てくれた」ことだけを覚えています。
子供が振り返ったとき、
そこにいる父親でありたい。
次の行事に、お守りを
運動会も、授業参観も。チノパンの下の安心が、「そこにいる」を支える。
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📚 参考文献
- Fukudo S, et al.(2021)"Evidence-based clinical practice guidelines for irritable bowel syndrome 2020." J Gastroenterol, 56: 193-217 PubMed 33538894 ── IBSの心理社会的影響と回避行動
- Lackner JM, et al.(2018)"Improvement in gastrointestinal symptoms after cognitive behavior therapy for refractory IBS." Gastroenterology, 155(1): 47-57 PubMed 29702118 ── 回避行動・予期不安と段階的エクスポージャー
- Drossman DA, et al.(2009)"Severity in irritable bowel syndrome." Am J Gastroenterol, 104(Suppl 1): S1-35 PubMed 19521341 ── IBSの重症度と社会的機能(家族関係含む)への影響
- Simrén M, et al.(2001)"Food-related gastrointestinal symptoms in the irritable bowel syndrome." Digestion, 63(2): 108-115 PubMed 11244249 ── 食事と胃結腸反射(行事当日の食事管理の根拠)


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