加齢による「筋力低下」と尿漏れの関係|下半身トレーニングの重要性
📋 この記事は 男性の尿漏れ対策 完全ガイド の一部です。他のテーマも合わせてご覧ください。
加齢と筋力低下による
尿漏れ対策ガイド
自宅でできる下半身トレーニングで改善を目指す
参考:日本泌尿器科学会ガイドライン(2020年版)・国際尿禁制学会(ICS)推奨|最終更新:2025年
📋 この記事の内容
- 加齢と筋力低下が尿漏れを引き起こすメカニズム
- なぜ加齢で尿漏れが起こりやすくなるのか
- 骨盤底筋と下半身筋力の詳細な関係
- 尿漏れ対策に効果的な下半身トレーニング(4種類)
- 上級者向けトレーニング・ストレッチ
- トレーニングを続けるポイントと注意点
- おすすめの1週間スケジュール
- トレーニングと吸水パンツの併用
- よくある質問(Q&A)
- まとめ
💪 1. 加齢と筋力低下が尿漏れを引き起こすメカニズム
「最近、くしゃみや立ち上がりのときに尿が漏れることが増えた」
「夜中にトイレで目が覚める回数が増えた」
そんな悩みを持つ40〜70代の男性は少なくありません。日本泌尿器科学会によると、40代男性の約20%、60代では約40%が何らかの尿漏れ経験を持つとされており、その最大の原因のひとつが「加齢による筋力低下」です。
人間の筋肉量は30代をピークに、何も対策をしなければ10年ごとに約10〜15%ずつ減少します(サルコペニア)。この筋力低下は全身に及びますが、特に骨盤底筋群・下半身の筋力低下が尿漏れに直結します。
しかし、朗報があります。筋肉は何歳からでも適切なトレーニングで回復・強化できます。本記事では、尿漏れを改善する科学的に効果が示されたトレーニング方法を、実践手順付きで詳しく解説します。
💡 筋力は何歳からでも取り戻せる
- コクランレビュー(Dumoulin, 2018)では、骨盤底筋訓練を12週以上継続した場合に尿失禁の頻度が有意に改善することが示されている
- 65歳以上の高齢者でも、抵抗運動トレーニングにより12週で筋力が20〜30%向上するとの報告がある(Fiatarone MA, 1994)
- 国際尿禁制学会(ICS)は骨盤底筋訓練を尿失禁の第一選択保存療法として全世界で推奨している
⚠️ 2. なぜ加齢で尿漏れが起こりやすくなるのか
加齢による尿漏れには、複数の要因が重なっています。それぞれのメカニズムを理解することで、対策の意味がより明確になります。
1. 骨盤底筋群の衰え
骨盤底筋群(肛門挙筋・尾骨筋など)は膀胱・直腸・前立腺を下から支えるハンモック状の筋肉群です。加齢とともにこの筋群が萎縮すると、尿道括約筋のコントロール力が低下し、腹圧がかかった瞬間に尿が漏れやすくなります。
- 尿道を締める内・外括約筋の反射速度が低下する
- くしゃみ・咳・笑いなど瞬間的な腹圧上昇に対応できない(腹圧性尿失禁)
- 残尿感が増え、排尿後の後滴下(ちょい漏れ)が増える
2. 下半身全体の筋力低下(サルコペニア)
大腿四頭筋・大臀筋・内転筋などの下半身大筋群が衰えると、骨盤の安定性が失われます。骨盤が後傾(後ろに傾く)することで、骨盤底筋が正しいポジションで機能できなくなります。
- 骨盤の後傾が尿道の角度を変え、括約筋が効きにくくなる
- 立ち上がり・階段昇降など日常動作で腹圧がかかりやすくなる
- 下半身の血流低下が膀胱壁の弾力性を損ない、過活動膀胱を誘発
3. 体幹(コア)筋力の低下
腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋は「インナーユニット(体幹深層筋)」として連動して働きます。加齢や不活動でこのユニットが崩れると、腹腔内圧の制御が不安定になり、尿道括約筋への負荷が増大します。
- 呼吸と排尿のコントロールが連動しているため、体幹力が尿漏れに直結する
- 腰痛と尿漏れが同時に悪化する方が多いのはこの連動が原因
- 骨盤底筋だけを鍛えても体幹が弱いと効果が半減する
4. 生活習慣・環境要因の重なり
筋力低下に加え、生活習慣の問題が症状を増幅させます。特に退職後に運動量が激減するケースでは、筋力低下が急速に進行します。
- 長時間の座位(テレビ・読書など)による骨盤底筋への持続的圧迫
- BMI 25以上の過体重:内臓脂肪が膀胱に物理的な圧力をかける
- 慢性的な便秘による骨盤底への過度ないきみ圧
5. 前立腺の変化(男性特有)
50代以降の男性の約50%が前立腺肥大症を発症するとされています(日本泌尿器科学会)。前立腺が肥大すると尿道が圧迫され、筋力低下との相乗効果で尿漏れが起きやすくなります。
- 前立腺肥大による排尿後残尿→後滴下(排尿後の尿漏れ)
- 手術後(前立腺がん・肥大症)は括約筋が一時的に弱くなるため、トレーニングが特に重要
- 前立腺の問題と筋力低下が重なると症状が急速に悪化するため早期対策が鍵

🔬 3. 骨盤底筋と下半身筋力の詳細な関係
「骨盤底筋だけ鍛えれば良い」と思われがちですが、実際には下半身全体の筋群が骨盤底筋を支えるシステムとして機能しています。
大臀筋(お尻)と骨盤底筋の連動
大臀筋は骨盤を後方から支える最大の筋肉です。大臀筋が弱ると骨盤が後傾し、骨盤底筋が伸びた状態(弛緩位)に固定されてしまいます。スクワットやブリッジで大臀筋を鍛えることが、骨盤底筋の機能回復の前提条件となります。
内転筋(内もも)と骨盤底筋の関係
内転筋群は骨盤底筋と解剖学的に近接しており、内ももを締める動作が骨盤底筋の収縮を補助します。内転筋を使う「足はさみ体操」を組み合わせると骨盤底筋体操の効果が高まります。
腹横筋(お腹深部)との協調
腹横筋はコルセットのように腹部を包む深部筋で、骨盤底筋と同時に収縮することで腹腔内圧を安定させます。お腹をへこませながら骨盤底筋を締める「ドローイン」を日常的に取り入れると相乗効果があります。
🏋️ 4. 尿漏れ対策に効果的な下半身トレーニング
4つのコアトレーニングを紹介します。それぞれの科学的根拠と、年齢別・体力別のアレンジも合わせて解説します。
🏃 トレーニング1:スクワット
大腿四頭筋・大臀筋・骨盤底筋を同時に鍛える最高効率の運動。正しいフォームで行うことで骨盤底筋への最適な刺激が得られます。
📊 推奨量:10〜15回 × 2〜3セット、週3〜5回
正しいフォームのポイント
- 足を肩幅〜やや広めに開き、つま先を外側15〜30度に向ける
- 背筋を伸ばし、胸を張ったまま腰をゆっくり落とす(3〜4秒かけて)
- 膝がつま先の方向に沿って曲がるよう注意(内側に入らない)
- 太ももが床と平行になるまで(または可能な範囲で)下ろす
- ゆっくり立ち上がる際に、お尻をギュッと締める感覚を意識する
🟢 楽にできる方(初心者):椅子に手をついた「チェアスクワット」(立ち座りを補助しながら)から始める
🔵 慣れてきた方:立ち上がりの瞬間に骨盤底筋を締める「連動スクワット」へ発展させる
🛌 トレーニング2:ブリッジ運動
仰向けで行うため膝・腰への負担が少なく、大臀筋・骨盤底筋・腹横筋を安全に強化できます。スクワットが難しい方にも適した運動です。
📊 推奨量:10〜15回 × 2セット、毎日可能
正しいフォームのポイント
- 仰向けに寝て膝を立て、足は腰幅に開く
- お尻をゆっくり持ち上げ、肩→腰→膝が一直線になるまで上げる
- 最高点で骨盤底筋をギュッと締めながら3〜5秒キープ
- 腰から順番にゆっくり下ろす(背骨1個ずつを意識)
- 腰を反りすぎず、お腹を軽く緊張させたまま行う
💡 発展形:片足を浮かせた「片脚ブリッジ」で大臀筋への刺激を倍増させる(バランスに注意)
💪 トレーニング3:ケーゲル体操(骨盤底筋体操)
国際尿禁制学会(ICS)が第一選択として推奨する尿失禁の保存療法。場所を問わず、座位・立位・仰向けで実施でき、効果発現まで4〜12週が目安です。
📊 推奨量:10〜15回 × 3セット、1日2〜3回。合計30〜50回/日が目標
正しいやり方(3段階)
STEP 1:筋肉を見つける
排尿を途中で止めるイメージで尿道と肛門を同時に締める。お腹・太もも・お尻全体に力を入れないように。
STEP 2:スロー収縮(持久力トレーニング)
締めた状態を5〜10秒キープ → ゆっくり10秒かけて完全に緩める。緩める動作が最も重要。
STEP 3:クイック収縮(反射速度トレーニング)
1秒で締めて1秒で緩める高速切り替えを10〜15回。くしゃみ・咳への瞬間的な対応力を鍛える。
⚠️ 注意:実際の排尿中に練習することは、排尿機能を乱すためNGです。日常の別の場面(座っているとき・歯磨き中など)で行いましょう。
🚶 トレーニング4:ウォーキング
下半身全体の筋肉を使い、血行改善・体重管理・骨盤底筋への自然な刺激を同時に得られる有酸素運動の代表格。研究では週150分以上の中強度有酸素運動が尿失禁リスクを低減することが示されています。
📊 推奨量:1回20〜30分、週5回以上。会話できる程度のペースが適切(中強度)
効果を高めるポイント
- 背筋を伸ばし、顎を引いて前方5〜6mを見ながら歩く(姿勢が骨盤底筋の機能を左右する)
- やや大股で腕を大きく振ると体幹・骨盤周囲の筋肉が活性化する
- 歩行中に骨盤底筋を軽く締めながら歩く「ケーゲルウォーキング」も効果的
- 腹部に余分な脂肪がある方は、体重1kgの減少で膀胱への圧力が有意に低下する
💡 天候が悪い日は:室内でのかかと上げ(20〜30回)や踏み台昇降(5〜10分)で代替できます。
⬆️ 5. 慣れてきたら試したい追加トレーニング
基本4種類を2〜4週間続け、楽に感じてきたら以下を追加することで効果をさらに高められます。
🦵 足はさみ体操(内転筋強化)
推奨:15〜20回 × 2セット
- 椅子に座り、膝の間にクッションやタオルを挟む
- 内ももで強くクッションを挟みながら骨盤底筋も同時に締める(5秒)
- ゆっくり緩める。内転筋と骨盤底筋の協調収縮を意識する
🧘 ドローイン(腹横筋強化)
推奨:5〜10秒 × 10回、1日2〜3セット。座位・立位どちらでもOK
- ゆっくり息を吐き、お腹をへこませる(おへそを背骨に向けて引き込むイメージ)
- その状態のまま骨盤底筋も同時に締め、5〜10秒キープ
- ゆっくり息を吸いながら元に戻す
- 腹横筋と骨盤底筋を同時に使うことで、咳・くしゃみ時の保護力が高まる
🧘 股関節・お尻のストレッチ(緩める)
推奨:各30秒×2回、トレーニング後に実施
骨盤底筋は「締める」だけでなく「完全に緩める」能力も重要です。慢性的な緊張が過活動膀胱を悪化させることがあります。
- お尻のストレッチ:仰向けで片膝を胸に引き寄せ30秒キープ
- 股関節開脚:椅子に座り、足首を反対膝の上に乗せ、上体を前傾
⭐ 6. トレーニングを続けるポイントと注意事項
継続のための5つの鉄則
- 少ない回数から始める:最初の1週間は各運動5回でもOK。筋肉痛になるほどやり過ぎると続かない
- 毎日続ける:効果が出るまで骨盤底筋体操で4〜8週、下半身全体の筋力回復には12週が目安
- 正しいフォームを最優先:回数より質。誤ったフォームは効果ゼロどころか関節への負担になる
- 習慣化のトリガーを作る:「テレビを見ながらケーゲル」「歯磨き中にドローイン」など生活動作に紐づける
- 記録をつける:週1回、漏れた回数・距離・運動量を記録することで改善が可視化される
⚠️ こんな場合は医師に相談してから始めましょう
- 人工股関節・膝関節置換術後
- 重度の変形性膝関節症・腰椎疾患
- 前立腺手術(前立腺全摘・肥大症手術)後の急性期
- 心疾患・高血圧で強度制限がある方
📅 7. おすすめの1週間トレーニングスケジュール
無理なく継続できる週間スケジュールを2パターン用意しました。
【入門パターン:初めて1〜4週目】
【標準パターン:5週目以降】
👕 8. トレーニングと吸水パンツの併用で安心感を
筋力を鍛えることは長期的な改善への最善策ですが、効果を実感するまでには4〜12週間かかります。その間も日常生活・運動・外出を前向きに続けるために、男性用吸水パンツ(尿漏れパンツ)の活用が有効です。
心理学的には、「漏れても大丈夫」という安心感が、尿漏れを悪化させる緊張・不安のサイクルを断ち切る効果があります。安心してトレーニングを継続できる環境を整えることが、改善への近道です。
吸水パンツを併用するメリット
- 普通の下着と変わらない見た目:家族がいても気づかれにくく、自尊心を保ちながら使用できる
- 吸水量を選べる:20ml・60ml・100mlから症状と活動量に合わせて選択可能
- 運動中も安心:ウォーキング・ストレッチ中の「万が一」の不安を消し、運動継続率が上がる
- 洗って繰り返し使える:毎日洗濯で清潔を保ちながら、経済的に長期使用できる
シーン別おすすめタイプ
軽い後滴下・予防として毎日使用 → 20mlタイプ
排尿後のちょい漏れ・軽いくしゃみ漏れが主な方に。薄型で毎日着用しやすく、トレーニング習慣と並行して使えます。
外出・ウォーキング・スポーツ時 → 50・60mlタイプ
体を動かす日・外出が長い日に。前後左右の漏れガードで、どんな体勢でも安心。運動継続のための「お守り」として最適です。
長時間外出・重要な外出・夜間対策 → 100mlタイプ
症状が重い方・夜間の備えとして最大限の安心感を。更に確実な吸収が必要な場合は市販の吸水パッドとの併用もおすすめです。
「努力と安心の両立」が改善を加速させる
トレーニングで筋力を回復させながら、吸水パンツで「今日の安心感」を確保する。この2つを組み合わせることで、不安を感じることなく前向きに改善に取り組めます。「漏れたらどうしよう」という緊張がなくなるだけで、日常生活の質が大きく変わります。

❓ 9. よくある質問(Q&A)
🎯 10. まとめ:筋力を取り戻す習慣を始めよう
加齢による筋力低下は避けられませんが、適切なトレーニングで何歳からでも改善できます。骨盤底筋だけでなく、大臀筋・内転筋・腹横筋を含めた下半身全体を鍛えることが、尿漏れ改善の鍵です。
- 骨盤底筋・下半身全体・体幹(インナーユニット)の3層を鍛えることが重要
- スクワット・ブリッジ・ケーゲル体操・ウォーキングを組み合わせて実施する
- 効果を実感するまで4〜12週かかるため、継続が最も重要
- 吸水パンツを併用して「今日の安心感」を確保しながらトレーニングを続ける
- 3ヶ月試しても改善がない場合は泌尿器科を受診し、他の原因を調べる
何歳からでも遅くありません
今日から、筋力アップの第一歩を踏み出しましょう
今日から始める5つのアクション
- 今日の歯磨き中にケーゲル体操5回試してみる
- 椅子に深く腰掛け、正しい座り方を今日から意識する
- 近所を10分ウォーキングする(骨盤底筋を意識しながら)
- 自分の症状に合った吸水パンツを選び「安心の備え」をつくる
- スマホに「ケーゲル体操」のリマインダーを毎朝セットする
📚 参考文献・引用元
- 日本泌尿器科学会(2020)「男性下部尿路症状・前立腺肥大症 診療ガイドライン」医学図書出版
- 日本排尿機能学会(2015)「過活動膀胱診療ガイドライン 第2版」医学図書出版
- Dumoulin C, et al.(2018)"Pelvic floor muscle training versus no treatment, or inactive control treatments, for urinary incontinence in women." Cochrane Database of Systematic Reviews, Issue 10.
- Fiatarone MA, et al.(1994)"Exercise training and nutritional supplementation for physical frailty in very elderly people." New England Journal of Medicine, 330(25), 1769–1775.
- Bø K.(2004)"Pelvic floor muscle training is effective in treatment of female stress urinary incontinence, but how does it work?" International Urogynecology Journal, 15(2), 76–84.
- Subak LL, et al.(2009)"Weight loss to treat urinary incontinence in overweight and obese women." New England Journal of Medicine, 360(5), 481–490.
- Shamliyan T, et al.(2012)"Male urinary incontinence: prevalence, risk factors, and preventive interventions." Reviews in Urology, 11(3), 145–165.
- International Continence Society(ICS)"Conservative management of urinary incontinence: Behavioural and physical therapies." Neurourology and Urodynamics, 2017.
! 免責事項
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的アドバイスの代替となるものではありません。尿漏れの症状が続く場合や悪化する場合は、必ず医療機関(泌尿器科)を受診してください。運動を始める前に、持病のある方は医師に相談されることをおすすめします。


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